(・・・ふぅ〜・・・やっと寝たみたいね・・・)
久しぶりの温泉旅行で興奮した子供達がやっと寝付いた時には既に11時を過ぎようとしていた。
夫の良雄も日頃の仕事の疲れと、車の運転で疲れたのか、大きな鼾をかいて眠っていた。
(・・・もう・・・折角の旅行だっていうのに・・・一人で寝ちゃって・・・)
子供と夫の寝顔を見つめながら、美由紀は寝室のドアをそっと閉めた。
(・・・あぁ〜・・・折角だからもう一回温泉に入ってこようかな・・・)
美由紀は内風呂に干してあった水着をタオルに包むと、静かに温泉に向かった。
ここは家族向けに作られた温泉で、全ての温泉は水着をつけて入る混浴となっている。
広い敷地に20以上もの露天風呂が点在し、様々な効能をもつ温泉を楽しむ事が出来る。
昼間は子供達がその殆どの浴槽ではしゃぎ回り、ゆっくり浸かっていることもままならない程に賑わっていたが、流石にこの時間になると人影もまばらで、一つの浴槽にカップルらしい男女が1組づつ、寄り添うように温泉に浸かっていた。
(・・・ん〜ん・・・なんだか、カップルの入ってる所には行きづらいなぁ〜・・・)
水着に着替えた美由紀は、カップルの居ない浴槽を探しながら薄暗い敷地を歩きまわり、一番奥の岩風呂に行き着いてしまった。
(・・・あぁ〜・・全部カップルが独占しちゃって、何処にも入れない・・・)
「・・・美由紀さん・・・美由紀さん・・・ここ・・・ここじゃよ・・・」
「・・えっ!・・・」
静まりかえった敷地に、一際大きな声で自分の名前を呼ぶ声の方に振り返った美由紀は、立ち上る湯気の向こうに義父の勇作を見つけた。
「・・・お義父さん・・・お義父さんも着てたんですか?・・・お義母さんはどちらに?」
「・・・やっぱり美由紀さんじゃった・・・な〜に、家のヤツはもうとっくに寝ちまってるよ・・・」
今日の旅行には良雄の両親も一緒に来ていたが、慌しく済ませた夕食の後は二人とも寝たものだとばかり思っていた。
「・・・さぁ、こっちに来なさい・・・昼間は孫達のおかげでゆっくり入れなかったじゃろう・・・」
「・・・は・はい・・・」
美由紀は一組のカップルの前を横切り、大きな岩の影に座っている勇作の隣に腰をおろした。
「・・・あ・・・あぁ〜・・・気持ちいいぃ〜・・・」
「あぁ、気持ちいいねぇ〜・・・こんな旅行ならいつでも大歓迎なんじゃが・・・」
「・・・そんな事してたら、家破産ですよお義父さん。」
「それもそうじゃな。」
二人は軽い冗談を交えながら会話を交わしていたが、次第に周囲の雑音が気になりだし会話が途切れていく。
(・・・大丈夫だよ・・・聞こえやしないよ・・・)
(・・・だめぇ〜・・ダメだってばぁ〜・・・あ・・・あぁん〜・・・)
温泉の湯の音に交じって若いカップルの会話と共に、鼻にかかった女の甘い吐息交じりの喘ぎが美由紀と勇作の耳にも届いていた。
(・・・な・・何?・・・今時の若い人達ってなんて大胆なの・・私達がここに居るって知ってるのに・・・)
美由紀はと勇作は、互いに目を反らせ気付かないふりを装いながら岩の裏にいる若いカップルの様子に聞き耳を立てていく。
(・・・ほら・・ここ、もうこんなになってるじゃん・・・)
(・・・あ・・・あぁっ・・・だ・・・だってぇ〜・・・)
(もっとしてもらいたいんだろ・・・こんなふうに・・・)
(あっ・・・ダ・・・ダメ・・・声でちゃうよぉ〜・・・)
微かに聞こえる会話に、美由紀の頭の中に若いカップルの妄想がくっきりと浮かんだ瞬間、勇作の手が美由紀の肩に触れた。
「・・・お・・・お義父さん・・・」
「・・・たまにはいいじゃないか、美由紀さん・・・肩でも揉ませておくれ・・・」
「・・・で・・・でも・・・・」
美由紀は勇作の手から逃れるように勇作に背を向け、岩風呂の奥の方へ移動していくが、勇作も美由紀の肩を掴んだまま美由紀の後についていく。
「・・・お・・・お義父さん・・・」
「・・・何も言わんでいい・・・」
勇作は美由紀の肩を優しく撫でるように揉み解しながら、美由紀が身動きできないように岩風呂の隅に押し込み、徐々に身体を密着させていく。
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